AX-ON史上初のNHKゴルフ中継~日本シニアオープンゴルフ選手権2020~

2020.10.21
CREATOR REPORT
西村明浩
スポーツセンター スポーツ1部

コロナ禍でまだまだ自粛ムードが漂っていた4月21日。NHKのスポーツPより1本の連絡が入る。

「今年9月の日本シニアオープンゴルフ選手権の中継を完全委託でAX-ONさんにお願いいたします!」

ついに・・・ついに、この時が来た!!!!!
他局のゴルフ中継を、しかもシニアゴルファー日本一を決めるメジャー大会の中継をAX-ONで受注できたのである。
これはAX-ON史上初の快挙!!

例えるなら「フジテレビのスタッフが日本テレビのゴルフ中継を仕切って行う」という感じだろうか。
到底あり得ないことを成し得たのである。

筆者は普段、日本テレビのゴルフ中継プロデューサーを担当しているのだが、既知のとおりコロナウイルスの影響で今年の大会は軒並み中止に・・・そこに舞い込んだ千載一遇のチャンス!
何としてでも成功させなければ!

 

ゴルフ中継とは...

中継する各ホールに中継車を置き、その映像を同じゴルフ場の空き地に仮設で作った「放送センター」に集約してOAする「センター方式」と、「放送センター」などからケーブルを配線し、各ホールのカメラを繋ぎ変えながら中継する「ショットガン方式」に大きく分けられる。

今回は比較的安定した中継ができる「センター方式」を採用することにした。

今回の大会開催地は

兵庫県川西市にある「鳴尾ゴルフ倶楽部」(写真①)
今年で創立100周年を迎える名門コースだ。

写真①:鳴尾ゴルフ倶楽部(兵庫県・川西市)今年創立100周年を迎えた

まずは中継業務を担ってくれる技術会社探しから・・・

関西の系列局といえば読売テレビ。
日本テレビ系列の2大会を毎年中継している、ytbネクストライさんに迷わず連絡。
「是非やりましょう!」と景気の良いお返事を戴きタッグを組むことに。
写真のようなカメラ台(写真②)や、中継センターのプレハブなど仮設物を担当していただく会社も決まりチームが出来上がった。

写真②:18番Tee裏に設置したイントレ。15段(約20m)の高さ!

緊急事態宣言も明けた5月中旬、そして真夏の7月の2回
現場の下見を行い技術側と打ち合わせを重ねた。
遠距離なので時にはリモートも駆使しながらシステムを構築していく。

大方、中継の概要が固まってきたところに更なる課題が・・・

「コロナウイルス感染予防対策」だ。

NHKさんにとっても今年初のゴルフ中継。
ましてやゴルフ中継のスタッフは全員合わせて150人を超える大所帯。
NHKにもまだコロナ対策のマニュアルなど存在しない・・・
だったら自分で作るしかない!

この中継でコロナ感染者を出しては全てが台無しになるというプレッシャーとも戦いながら、細かいゾーン分け・消毒液の配置場所マスクなど予防対策の準備、そしてスタッフが集まる中継センター内の換気システムの考案・・・思いつくもの、できる限りのものを行った。
※実はこの作業が一番キツかった・・・

筆者も中継D兼務!
コロナ対策でSWとの間にアクリル板を設置した

約5か月にも渡る準備を経て

9月17日木曜日ついにOAの時を迎えた。

センターD(中継のチーフD)矢嶋が卓に座る・・・
主要スタッフは、ほぼAX-ONメンバー。
こんな日が来るのを去年の今頃だれが想像しただろうか・・・

50歳以上のプロゴルファー、アマチュアゴルファー含め日本で一番強いゴルファーを決めるこの大会。

藤田寛之、谷口徹、深堀圭一郎、尾崎健夫、羽川豊・・・
日本のゴルフ界を彩ってきた名選手たちによる4日間に及ぶ壮絶な闘いが繰り広げられた。

試合は寺西明プロが初日から並み居るプロを抑えトップを譲らぬまま完全優勝で日本シニアオープン初制覇。

毎日約4時間にも及ぶ生中継を20日の最終日まで4日間、放送事故もなく完遂することが出来た。

放送センター(手前から2人目が矢嶋D)

終了後撤収の時に

広がった夕焼けの空を見ながら改めてAX-ONスポーツ部員のレベルの高さを感じたのと同時にこの仕事を今年で終わらせてはいけない、来年以降も継続受注を!と強く感じた筆者。

まだまだコロナ禍は落ち着きそうにないが来年の東京五輪、パラリンピックに向けても大変いい経験になった。

ご協力いただいた各プロダクション、各部署の皆様ありがとうございました!

撤収の風景 夕焼けが凄く奇麗だった

夜8時に撤収完了!技術スタッフの皆様、お疲れ様でした!