「きよしこ」ってなんのことだと思いますか? 3/20(土)放送NHKドラマ「きよしこ」

突然ですが、「きよしこ」ってなんのことだと思いますか?
この作品につくとき、企画書をいただいて、その表紙に書かれていた「きよしこ」の文字。
「ん?『きよしこ』ってなんすか?」
が最初の疑問でした。
「きよしこ」とは、主人公の少年が、聖歌の「きよし この夜」を「きよしこ の夜」と勘違いして想像した、頭の中の理想の友だちです。
少年は、吃音を抱えていて、自分の想いを上手に伝えることができない男の子です。
台本読んで、めっちゃ泣いたのを覚えています。
読む前は「『きよしこ』ってなんやろ?」だったのに、読み終わったら「きよしこ......」と号泣でした。
とても丁寧で、誠実で、切実で、温かいお話なのです。
企画の発端は弊社、AX-ON企画戦略部のダニエルくんでした。フィンランドから日本にやってきてまもない頃、まだ日本語がうまく話せなかった彼は「伝えたいのに伝えられない」ことに悩んでいたといいます。そんな頃に重松清さんの著作『きよしこ』を読み、励まされ、そしていつかドラマにしたいと思ったそうです。
そしてその「本を読んだら?」とダニエルに渡してくれたのが今の奥様だそうで...。
(こんな美しい企画のはじまり、あります??)
彼の思いを受け取り、NHKさんとともに制作1部でドラマを制作させていただくことができました。
撮影の大部分は、地方ロケ。
真冬の静岡で行われました。
懐かしさを覚える昭和な風情の中で、子供達と一緒に、(寒さに耐えながら)大切に作りました。
重松清さんの名作をドラマにした『きよしこ』。
とても素敵な原作が、温かいドラマになっています。
3月20日(土)よる9時からNHKで放送されます。
ぜひ、大切な人と一緒に、ご覧ください。
小説家の白石清(安田顕)の元に、吃音の息子を持つ母親から「吃音なんかに負けるなと息子を励ましてもらえないか」という手紙が届いた。
白石は幼い頃に思いをはせ、担当編集者の野村(菊池風磨)に「個人的な話を書かせてほしい」と告げる。先輩編集者の室井(吹越満)はその言葉の意図を察していた。
白石は少年時代から吃音を抱えていた。特にカ行とタ行が苦手で自分の名前「きよし」さえつっかえてしまう。父・賢一(眞島秀和)の仕事の都合で何度も転校をし、自己紹介の度にクラスメイトから笑われる経験があったのだ。
小学1年、初めての転校でそのつらさを感じたきよし。母・曜子(貫地谷しほり)からクリスマスプレゼントに何を欲しいか聞かれた時も、本当は魚雷戦ゲームが欲しかったのに、"ぎ"で始まるために言いだせず、「飛行船でいいのね」と念を押されても答えられなかった。友だちにも家族にも思っていることを言葉にして伝えられないきよしは、なんでも話せる友だちが欲しかった。聖歌の「きよし この夜」を「きよしこ の夜」と勘違いして想像した"きよしこ"が理想の友だちだ。いつか子ども部屋の窓をたたいて現れてくれないか、"きよしこ"とならスラスラしゃべれるのに...。
しかし現実のきよしのクリスマスは、子ども会で意地悪をされ、家では父親から「飛行船」をプレゼントされる、悲しい思い出の日となってしまった。自分の思っていることを伝えられないもどかしさに苦しむきよしの前に、"きよしこ"が現れる...。
<AX-ONスタッフ>
制作統括:三上絵里子
演出:狩山俊輔
プロデューサー:渡邉浩仁
協力プロデューサー:
戸倉亮爾、ダニエル・トイヴォネン
助監督:鯨岡弘識
タイトルバック:岩﨑マリエ