震災から12年 NHK「こころフォトスペシャル」

東日本大震災からまもなく12年。
私たちは、NHK「こころフォトスペシャル」という番組で毎年、震災で大切な家族を失った方のいまと、その気持ちをお手紙を通して伝えてきました。
番組で登場する方を、簡単にご紹介します。
<12年目の春 今だから語るあの日のこと/宮城県石巻市>
東日本大震災が起きた当時、8歳だった少女は、友達のように仲の良かった大好きな妹を亡くし、ひとり、殻に閉じこもるように、涙も見せず、気持ちを話すこともなくなってしまいました。
こころフォトでは2014年に彼女を取材。そこには、言葉少なに、表情を失った姿がありました。
今年、8年ぶりに彼女と再会。
20歳になり、柔らかな大人の女性に成長していました。
彼女の口から語られたのは、この年月の間に起こった、心の移り変わり。
成長するにつれ、分からなかったことが分かるようになるにつれ、妹を失った悲しみは、深まっていったと語りました。
それでも今、彼女は力強くこう言います。
「ただ悲しいだけの時期は終わった。乗り越えられないけど、向き合い続ける」
その思いを胸に、今年、自らの震災の記憶を包み隠さずに語りました。
今だからこそ、言葉にできた、あの日のこと...
12年経った今だからこそ、多くの人に伝えたい。
その覚悟の言葉を、ぜひ聞いて欲しいと願います。
<父を奪った海と共に生きる 漁師の決意/福島県相馬市>
福島で暮らす、72歳の男性。
漁師だった父を津波で亡くした後も、同じ漁師として海と向き合い続けています。
未だ原発の風評被害の影響を受け続けている福島の漁業。
昨年は処理水の海洋放出の認可も...
苦難と向き合い続ける男性の心の支えとなっているのは父にもらったある言葉。
その言葉を胸に、いまも海へ向かい続けている。
<最愛の夫を亡くした女性 その12年を手紙で辿る/岩手県陸前高田市>
こころフォトに、毎年手紙を送り続けてくださった女性がいます。
中学生の時に出会い、結婚した、最愛の夫を津波で失いました。
その後、彼女を喪失の苦しみが襲います。
この年月、彼女は手紙を書きながら、自らの悲しみと共に生きてきました。
その間にも、夫が撮った写真が見つかったり、夫が書いた家の設計図が出てきたり...
常に夫を近くに感じながら、歩み続けてきた女性の12年を描きます。
12年は干支が一周する、ある意味節目とも言える年数です。
でも、被災された、大切な方を亡くされた方々にとってはその数は記号でしかないことを痛感します。
あの日突然居なくなってしまった、大切なあの人へ...
思いの詰まったお手紙とともに、それぞれの12年をお伝えします。


こころフォトスペシャル ~あなたを忘れない 12年目の手紙~
放送日
NHK 総合 3月11日(土)15:55~16:44
再放送
NHK 総合 3月14日(火)2:10~2:59(13日深夜)
ナビゲーター
俳優・鈴木京香
ナレーション
俳優・大沢たかお
制作スタッフ
P:小嶋清美(制作センター制作4部)
演出:黒瀬敦子(制作センター制作4部)
D:市川佳子(制作センター制作4部)
D:石川陽子
AD:加藤綾乃