
映画「ゆとりですがなにかインターナショナル」(10月13日全国東宝系)アックスオン制作に関して

10月13日から全国東宝系で公開

さかのぼること2年前、クランクインを目指して動き出していた。
立ちふさがったのは、コロナ禍だった。一度は集結したキャスト・スタッフも身動きがとれなくなった。皆解散し、
と思われた。
それでも、水田監督と脚本の宮藤官九郎さんはあきらめていなかった。
それに呼応するかのように、キャスト・スタッフは集結していった。
今や、日本を代表するといってよい俳優、 ・ ・ ・ ・ ...。超がつくぐらい多忙な面々である。
しかし、皆、事務所関係者も含めて思いは一つだった。

まず行うべき作業は、レギュラーキャスト陣を一人残らず、スケジュール調整すること。事務所関係者も懸命に調整してくださって、一人残らず出演がかなった。
連続ドラマとスペシャルドラマから6年という時間を経て、皆最前線で活躍されているのも感慨深い。

水田監督の張りのある声が響きわたる。山路の変わらぬ姿に監督以下スタッフの緊張もほぐれていく。タイトなスケジュールなので、準備を万全にしてミスをしないようにスタッフの動きもテキパキしている。
「ゆとり」が帰ってきたのだ。
撮影は想像を超えたスピードで進んだ。これも実力派俳優陣の息のあった芝居の産物である。
水田監督の演出も、中山カメラマンのカメラワークも、俳優の力を最高に引き出す。水田監督と旧知のスタッフも、まさに阿吽の呼吸で撮影は進んでいく。

6年の間、大切にとっておいたセットに坂間家の面々が入っていく。坂間正和(岡田将生)・坂間茜(安藤サクラ)の大家族に、道上まりぶ(柳楽優弥)・山岸ひろむ(仲野太賀)が加わり、芝居合戦がくりひろげられる。誰もスタンドプレーに走ることなく、息をあわせる空間。
毎シーン、撮影現場で芝居を見ることに喜びを感じる。日本の俳優のレベルの高さを再認識できる瞬間だった。

だった居酒屋が、韓国企業に買収されて「豚の民」となり、やきとりがサムギョプサルになる。この日、麻生巌( )が初登場。撮影のボルテージが一段あがる。
ゲストのチェシネ(
「高円寺から八王子のインターナショナル」。コロナ禍で海外に行けなくても、世界は確実に縮まっている。
宮藤脚本を超えるべく、キャスト・スタッフの挑戦は続く。

数日にかけて、多くのエキストラとともに大規模な撮影。水田監督と中山カメラマンとVFXの小田さんの綿密な打ち合わせを経た撮影。これぞ映画の魔術。
カラクリはあえて秘密にするが、最新のテクノロジーと知恵が結実した撮影だった。

高円寺は連続ドラマから、ゆかりのロケ地。通行の方もお邪魔しているクルーに協力的だ。
ここで、正和・山路・まりぶの三人がそろった撮影。
偶然なのだが、三人が揃うシーンが少なかった。三人は「ゆとり世代」、いや日本を代表する俳優になっていた。
緊張感がある中でも、どこか楽しんでいる芝居の応酬。この一瞬の時間が愛おしく、水田監督も噛みしめて演出しているようで、スタッフも幸せな時間をすごせた。

後日譚なのだが、柳楽さんはホテルに缶詰めになって、中国語を覚えたという。
一気呵成に過ぎていった撮影もこの日でオールアップ。予定よりも速いスピードでかけぬけていった撮影だった。
速いのは雑ではなく、本当にスタッフ・キャストの集中力のたまもの。見えない所での準備を怠らなかったからだ。
濃密で忘れられない時間があっという間に過ぎていった。


編集作業・宣伝につなげていき、あっという間に公開を迎える。全力で駆け抜けた1年間。
皆、口をそろえて話しています。
そこまでは、私も成長していきたい、そう思える現場でした。
まだ訪れたことのない国、百年後の未来、自分が会うこともないだろう人にも、見てもらえたらいいな。

監督:水田伸生
プロデューサー:仲野尚之