もう「新人」と言えない

入社して1年と1ヶ月、映像事業センター映像制作部に配属され10ヶ月が過ぎました。つい2ヶ月前まで、先輩方は「新人の~」と私を紹介してくださり、私自身も「新入社員の~」と挨拶をしていました。"新人"という言葉に、私は柔らかく温かく守られていました。
5月になり映像事業センターにも2021年度新入社員の方が配属され、初めて質問をされたときに自分はもう新入社員ではないのだと感じました。
本当はまだ何も出来ないため一番下でずっといたい、などと甘い考えもしていましたし、正直4月になった瞬間に生まれ変わることも、スキルが上達するわけでもありませんでした。相変わらず資料はうまく作れないし、早朝ロケの朝、早く起きるのが得意になることもありません。それでも、「2年目の~」と名前の前に付け、「気軽になんでも聞いてください」などと言わないといけませんでした。
そんなふうに表では先輩面をしていても、心では1年前から何も成長できていない・・・と悩むことも最近までは多くありました。
そんな思いから少しだけでも脱却できたのは、新入社員へ向けての部署説明会がきっかけでした。
私は映像制作部のAD業務説明の担当で、去年までAD部分は2人体制だったはずなのに、今年はなぜ1人なのだろう・・・とか、作業は忙しいときほど降ってくるものなのか、2泊の泊まりロケの後で資料が間に合わない・・・!など、時期がもう少しずれていれば良かったのにと資料作成中は思っていました。
しかし、資料をまとめているうちに1年間で自分が関わった案件を振り返ることができ、今だったらこの資料をもっと良くできるのになど、過去の自分にダメ出ししながら作成していました。日頃は目の前にある仕事だけに集中して、そこで出来ないことがあると、よりそこに目がいってしまいますが、1年間で出来るようになったことは、少しずつ増えているのだと感じることができました。
新入社員が部署説明を聞いて、会社についての理解を深める場で、私は自分自身への理解を深めていました。
この1年間これだけは同期に負けないのでは!と思うことがあります。それは経験ジャンルの多さです。
映像制作部は主にCMを制作していますが、他にも仕事は多岐に渡ります。私はインフォマーシャルから純広CM、情報バラエティー、ドキュメンタリー、再現ドラマと様々なジャンルに携わらせてもらいました。
毎回、準備段階も現場での動きも異なるため分からないことだらけで、緊張から収録前日は眠れないことも多くありました。外部の方と仕事をする機会も多く、当日の早朝にスタッフさんと「初めまして」とあいさつしながら地方ロケハンに出発したり、またこちらも、当日初めて会う外部のディレクターと長野出張に行ったり、CMのダンスを完璧に覚えたりと、今振り返れば心も体も鍛えられたのではないかと思います。
携わった情報バラエティーの一つは、『新しい日常について聞かせてもらっていいですか?』というタイトルで、こんなご時世だからこその番組内容でした。
街の人に対して、コロナ禍で生活はどう変化していったかというインタビューがベースで進んでいく番組です。日常や趣味などあらゆることが今までの様に行かず、しかし、その中で楽しみを見つけ、どう生活しているかを話してもらいました。
収録が夏のため炎天下で何時間も、マスクにフェイスシールドをし、街頭インタビューを行なったり、感染症対策を行なっていることを示すために、スタッフと街の方との距離を取りながらインタビューをしている様子を撮影しました。タレントさんに何かものを手渡ししなければいけない状況では、先輩ADと知恵を出し合い、効率かつ安全に進めることができたと思います。
戸惑いつつも、以前は行なっていなかったであろうことに試行錯誤しながら進めていきました。
コロナ禍における街頭インタビュー
コロナ禍の中、気にかけなければいけないことは映像業界でも沢山増えたとは思いますが、私は1回目の緊急事態宣言中に入社をしたので、それが私の中のスタンダードになってしまっています。さまざまなことを気にかけるためには全体が見える必要があります。そしてそのためには視点を高くしなければいけません。それゆえコロナ禍での新社会人生活は大変なことも多くありましたが、それによって早くいろんなことを俯瞰で考えるようになるのでは、とも思います。
また、映像制作部で様々なジャンルを経験したからこそ、多角的に物事を捉えようという気持ちが強くなりました。あの現場ではこう動いたけど今はどうすればいいだろう、という風に今回の案件には何が適しているかを考えるようになりました。
今後も物事を多角的に見るようにして、1年目よりもミスや見逃しを減らし、去年以上に成長できるようにしていきたいです。
私は・・・ もう「新人」と言わない。