史上初のベスト8進出!ラグビーW杯取材記

2019.11.24
CREATOR REPORT
寺嶋重人
スポーツセンター スポーツ2部

『ラグビーを野球、サッカー以上の人気スポーツに』という野望を胸に僕が入社した2007年、この年から日本テレビがラグビーW杯の中継を始めることになった。
とにかくラグビーに関わる仕事を希望していた僕としてはこれだけでも運が良かったと思うけれども、さらに幸運なことに、大会が行われたフランスに出張させてもらい入社数ヶ月なのに現場を経験することが出来た。

それからも4年ごとに行われたラグビーW杯。
僕のディレクター人生はラグビーW杯と共にあったと言っても過言ではないと思う。
時にはディレクターとして、また時にはデスクとして4年に1度のラグビーW杯と向き合いながらラグビーの楽しさを伝えようと様々な編集技術、取材の手法を学び、また国内、国外含め数多くのラグビーコネクションを手に入れた。
全てはラグビーを盛り上げるためであり他の人から見れば不自然に見えるぐらいラグビーに特化したディレクター人生だと思うけれどもそんな僕にとって日本で開催される今大会は本当に特別なラグビーW杯だった。

開幕戦の日本対ロシア。
スタジアムに入ってまず観客の多さに圧倒された。
日本ラグビー界では過去のラグビーブームの際に早稲田対明治、新日鉄釜石の7連覇など旧国立競技場に7万近い観客を集めた試合もあったらしいけれど僕は実際に見たことがないしその頃の盛り上がりみたいなものはイマイチ想像出来なかった。
この日の観客はほぼ満員の45745人。
ファンに埋めつくされたスタジアムを見て試合も始まっていないのに大勢のラグビーファンの熱量に一人感極まっていた。

開幕戦に限らずスコットランド戦の67666人を筆頭に日本代表戦は全てのスタジアムをファンが埋め尽くした。

その凄さが見て取れたのは国歌斉唱の瞬間だったと思う。
これまで数え切れないほど日本代表の試合取材に行ったけれどあれだけ多くの人が君が代を歌うのを見たのは初めてだった。
声がスタジアムに反響して本当に幻想的な空間になっていた。
この声はおそらく日本代表にとってはこの上ない後押しになり相手チームにとってはとてつもない脅威になっていたはずだ。

花園ラグビー場

僕は今大会、日本の試合はすべて日本代表・田中史朗選手のご家族の隣で密着取材をさせてもらった。
田中選手との付き合いは長く、彼が日本人初のスーパーラグビープレーヤーとしてデビューした2013年から続いている。
田中選手とはなぜか気が合い仲良くさせて頂いているがこれまでも番組で過酷な滝行に挑戦してもらったり試合直前まで密着させてもらったりといつも無茶な依頼にも対応してくれている。
今回も田中選手のご厚意で全試合、家族に密着することを許可してもらった。

試合中、奥様から田中選手について色々な話を聞くことが出来た。
34歳で迎える今大会を自身のラグビー人生の集大成にしようとしている話、あまりの練習の辛さに「もう無理だ」と弱音を吐いたので「絶対に諦めないでほしい」と励ました話、今回は選ばれるかどうかギリギリだったためメンバー発表の時には名前が呼ばれて泣いた話、今大会に懸ける想いに聞いているこちらが泣きそうになった。
だからかもしれないけれど僕の中で日本代表の試合で一番歓声が上がったのは選手交代で田中選手が入った時だったと思う。
もちろんトライシーンやピンチの場面も大歓声が上がっていたけれど僕にはあの瞬間が一番盛り上がったと感じたし一番感動的な場面だと思った。

最終的に日本代表の戦いはベスト8で終わったが大会期間中、日本戦は記録的な視聴率を生んだ。
ラグビーワールドカップ日本大会はラグビーが野球にもサッカーにも負けないコンテンツであることを十分すぎるぐらいに証明してくれた。

本当に嬉しい事だけれどもここで満足していてはいけないとも思う。

今回のラグビーワールドカップの放送に携わった者としてこの熱を年明けに開幕するラグビートップリーグに繋げ更なる発展を目指すことが義務であり使命であるのではないか。
そんな事を考えながら再び4年後に向かってまたを始めたいと思う。

豊田スタジアム

 

後日談

ラグビーワールドカップと同じく4年に1回、本大会が開催される場所でメディアのラグビー大会があります。
これはラグビーワールドカップの第一回大会から続いている伝統のある大会で、参加資格はラグビーワールドカップにメディアとして関わる人。
大会によって参加人数が変わるため時には世界選抜対欧州選抜の形式だったり近隣諸国でチームを作り総当たりで行われることもあります。
実は僕は長年この大会への出場を目標に鍛錬を続けてきました。
そして10月28日、ついに日本大会が行われ日本テレビ&Jsportsチームの一員として大会に参加することが出来ました。
結果はアルゼンチンチームや欧州選抜、南半球チームなど次々と破り見事優勝。
賞品として伝統の盾と試合球12個をもらいました。