実録!歌番組セット制作の舞台裏


細川!セットも作らなきゃいけないからね

セットですかぁ...(そんなの考えたことないし!)
新しい番組を作るのは、こんなに大変なのか!!
これは、テレビ界でキラ星の如く輝くスターディレクター!!...とは違う、しがない
が、 に助けられながら、 という記録です。
高齢者がファンの中心を占める演歌が、この先10年...20年...と続いていくためには、若い世代にも魅力を伝えないといけない!!ということで、新たな演歌番組の立ち上げが始まりました。
タイトルは
第1弾の放送は2024年4月24日。
ゲストは
代表曲「よこはま・たそがれ」の歌詞を、「サラダ記念日」で知られる歌人・俵万智さんが細か~く分析!!メロディーや五木さんの歌唱は、ピアニスト・清塚信也さんが徹底解説!!!五木さん自身も気づかなかった名曲の秘密が見えてきました。

さらに、五木さんが
僕の世代ではむしろ で知っている1曲ですが、五木さんご本人の 。
そもそも演歌番組の演出をやることになった僕は...

- ◆1982年生まれ、42歳
- ◆芸能ニュースのディレクターを5年
- ◆「スッキリ」「DayDay.」で時事ニュースを担当
普段、情報番組のVTRやスタジオ解説を作っています。
- 業界で名前も知られてい
- 音楽番組で実績も
- 歌のカット割りもしたことが
- 気力も体力もそれほど
- 特に会社から期待されているわけでも
いまだに理由は分かりませんが、突然ふいにチャンスがやってくる...それがAX-ONの不思議なところかもしれません。

話は冒頭のセット作りに戻ります。
「演出」というのは、プロデューサーと連携して、番組制作のクリエイティブな部分の最終判断を担うお仕事です。一緒に番組を作ってくれるディレクターたちをまとめながら、どんな内容・方向性にするか、あらゆることを決定しなければなりません。
番組を立ち上げるにあたって、
特に音楽番組のセットは、 でもあります。"新しい演歌番組"というテーマも考慮して...

悲しい歌もあれば明るい歌もあるし、これは歌ごとにいろいろセットを変えられるんですかね?

・・・

『SONGS』すごいですよね。前に井上陽水の特集見たとき、ジャングルのセットの中で歌ってましたよ

・・・

はい?


無理
ですよねぇ...。
今日び 、どこもそうでしょうけど、湯水の如くお金があるわけじゃありません。そんな中でどういうセットを生み出せばいいのか?そして、そもそも僕は番組のセットなんて考えたことはありません。
そこで助けてくれたのが、こちらの3人!

日テレアート
美術プロデューサー
高津さん

日テレアート
デザイナー
平岡さん

DayDay.
スタジオ班チーフ
田島ディレクター
番組の美術は
は、「スッキリ」「DayDay.」と一緒にやってきた仲間です。番組をどんな映像で伝えていくか...全体的なデザインを考えて、技術・美術スタッフと向き合い生放送をオペレーションするスタジオ班のチーフ。
みんな、"番組のカタチ"を作るプロフェッショナルたちです。
2024年の1月に行われた美術打ち合わせ。
田島ディレクターと相談して、こんなイメージ図を用意しました。

僕からは、番組のコンセプトのほか...

僕らのような演歌に親しんでいない世代が
- 「『演歌の番組って感じだなぁ』と思わないセットにしたい」
- 「神殿風の柱みたいな"具体的"なものは避けて、抽象的なセットにしたい」
- 「少しだけ左右非対称が良い。完全にシンメトリーは避けたい」
- 「例えば和室の欄間みたいに、ピンポイントで"和"な感じがあってもいいかも」
...と、思いつく限りを言葉にして思いを伝えました。
そして ...などなど、具体的に説明。

日テレアートの高津さん・平岡さんは、要領を得ない僕の説明にも熱心に耳を傾けてくれていました。

デザイン 平岡さん
具体的にイメージを共有していただけましたので、
セット作りのヒントになるキーワードや、
番組作りで大事にされていることなどをお伝えいただけたことは、
とてもありがたいことでした
翌月に行われた美術打ち合わせ。
平岡さんが見せてくれたセットのイメージCGがコチラ!


プロって、本当にすごーーーい!!!
僕らが用意したイメージをトレースするのではなく、僕らがどういう"価値観"を持っているのかを読み解いて、新しい形を提示してくれる...これがプロフェッショナルの仕事なんだなぁと感動しました。
高津さんは、最初の打ち合わせを振り返って...

日テレアート 高津さん
基本、新規道具を作製しない方向性になるだろうと思い、
つまり!
「いま、あるもの」をうまく組み合わせながら、こんなにステキなセットを生み出してくれたんです。 ですね。
で、僕のイメージを遥かに超えた歌の舞台が誕生しました。

デザイン 平岡さん
...を意識して、番組コンセプトにあった空間になるよう心がけました
そして、収録当日。
スタジオに入った僕の目に飛び込んできたのは...


▲収録準備中のセット

筆者
セットはさらにステキに!!
によって、セットに ようになっていたのです。僕も田島ディレクターも、思わず照明さんに「最高です!」と声をかけていました。




様々なプロフェッショナルたちによって生み出された舞台で繰り広げられる歌のステージ!!それが「やっぱり、歌が好き~にっぽんの名曲 解体新書~」の最大の魅力なんです。
「やっぱり、歌が好き~にっぽんの名曲 解体新書~」の魅力の1つが、NHK紅白歌合戦で総合司会もつとめた
です。
イントロの演奏がはじまる...司会が「この楽曲がどんな歌なのか」、「聴きどころは何処にあるのか」などを美しい言葉で語り、聴く人を歌の世界に誘っていく...。前口上は演歌・歌謡曲で定番の演出です。
しかし、
そこで登場するのが...
"アイデアと言葉のプロ"
放送作家 杉山さん
例えば、第1回放送の1曲目、五木ひろしさんの「夜空」の前口上。
僕は、台本に前口上の部分をこう書きました。

五木さんが最初に登場するときの歌だから、「60周年は言った方がいいな」、「『鉄人』というワード入れたいな」、「レコ大情報は必要だな」など、
特に意識したのは、
これを前口上の核にしたいなと思いました。これが杉山さんの手にかかると...
ただ一筋に、歌い続けて60年。進化を続ける"歌の鉄人"
握った拳で挑むのは、きのうの自分か、移ろう時代か
1973年のレコード大賞受賞曲『夜空』です
マジ感動!やっぱりプロはすごい!!
杉山さんには、すぐさま「『握った拳で挑むのは、きのうの自分か、移ろう時代か』が胸熱です!」と、感想をLINEしました。そもそも「武田さんがMCだし前口上やったほうがいいよ」と言ってくれたのも杉山さんだった気がします。
とにかく、僕自身は何か特別すごいスキルがあるディレクターではありません。
ここまで読んでいただいた方は「結局、細川って何もしてないよな」と思ったかも知れません。本当にその通りです(笑)
しかし、 ことで、 ・・・それが かなと思います。
そんな「やっぱり、歌が好き~にっぽんの名曲 解体新書~」。
10月9日(水)夜8時から、ゲストに坂本冬美さんと三山ひろしさんを迎えて、第2弾が放送されます。

今回は、冬美さんの代表曲
クラシックの作曲家・青山広志さんと日本語学者で国語辞典編纂者の飯間浩明さんにフカボリしていただきました。個人的には、冬美さんが忌野清志郎さん・細野晴臣さんと結成した異色のユニット『HIS』の名盤「日本の人」に収録された
ぜひ!ご覧ください!!!
- タイトル:やっぱり、歌が好き~にっぽんの名曲 解体新書~
- 放送日時:10月9日(水) よる8時~9時54分 BS日テレにて
- 公式HPはコチラ
- MC:武田真一
(今回、MCの市川由紀乃さんはお休みです。スタッフ一同、お待ちしています!!) - ゲスト:坂本冬美・三山ひろし
- 応援サポーター:辰巳ゆうと・梅谷心愛
- 総合演出:細川欣輝 顔イラストも
- スタジオ統括:田島麗治
- タイトルロゴ:菅和也
- ディレクター:渕上航平(太陽カンパニー)・西原辰耶(太陽カンパニー)
- ヤングディレクター:八木敦志(太陽カンパニー)
- プロデューサー:森田奈穂子・奥貫由佳(太陽カンパニー)