映画『五十年目の俺たちの旅』日本語字幕/音声ガイド付きバリアフリー上映決定

物語は、70代となった3人が、人生の“今”と向き合っていく姿を描いています。
私たちの部署の強みは、日頃より「金曜ロードショー」の映画で、字幕・解説放送の制作に携わることで得てきたノウハウ。
また今年5月公開の映画『青春ゲシュタルト崩壊』で日本語字幕・音声ガイド制作を手掛けた経験もあり各所との連携を踏まえながら、前作以上にスピーディーな制作日数で完遂することができました。
1/9(金)公開初日より、日本語字幕・音声ガイドもスタートします。
対応劇場と上映期間等の詳細につきましては下記リンク先をご覧ください。
字幕・解説放送事業部のAX-ONクリエイターが集い、 日本語字幕・音声ガイド制作に乗り出しました。
日本語字幕は音が聞こえない、聞こえづらい方々に向けたもの。
音声ガイドは、セリフや音楽の合間に、登場人物の動作や表情、場面や情景などの視覚情報を言葉で説明するものです。
私はディスクライバーとして音声ガイド制作を担当しました。
英語の「Describe(描写する)」に「-er」を付けた言葉で、「描写する人」を意味します。
主に目の見えない、見えづらい方々が映像を楽しむために必要な情報を提供する専門家の呼称です。
本作は放送開始50周年を迎える、伝説のドラマシリーズが初映画化とあって、
まず過去シリーズの勉強をするところから始まりました。
…というのも、そもそも私が生まれる前から放送されていたドラマシリーズ。
今作の映画には「五十年目」と題しているだけあって、懐かしい映像やエピソードがふんだんに盛り込まれているのですが、
回想シーンの前後関係が分からなかったため、あらゆる資料や映像媒体を見返しながら、
まずはこれまでのストーリー、登場人物それぞれの関係性や見た目の特徴、過去に起きた経緯をしっかり頭に叩き込み、
今作のガイド執筆に入りました。
特にファーストカット、タイトル、クライマックス、ラストカット、制作側がこだわっている箇所については、
ガイドでも同様に丁寧に扱うようにしました。
ストーリー展開上、必要ないと思われる景色や背景も制作側の意図があって、そのロケ地を選んでいる場合も大いにあります。
安易にガイド描写を端折ったり、簡略化する考えは避け、世界観を損なってしまっていないかを
常に意識しながらガイド制作にあたりました。
― 映像描写の取捨選択の判断は勝手にしない。
― 迷った場合は制作側に確認する。
― 見えづらい、または見えない当事者の方々が聞いた時の情報の過不足を想像する。
視覚に障がいのある方々にご協力いただき、映画制作プロデューサー立ち会いのもと、
ガイド内容を検討するモニター会を実施しました。


映像を流しながら、私自身がナレーター代理として音声ガイド台本を読み上げます。
ガイドが足りず内容が分かりにくいところや聞き取りにくいところなど、耳でチェックしてもらい、表現の仕方やタイミングを修正。
目で見ていても気づきにくいポイントもあり、制作側から演出意図や撮影背景などのご指摘を承り、反映していきます。
バリアフリー上映に向け、当事者の方々が見やすい・分かりやすいガイドを作るべく、
チームで何度も検討を重ねながら、台本を修正して最終稿を仕上げました。
クオリティーチェックも万全です!
男性が多く出演する今作に、音声ガイドナレーターとして彩りを加えていただいたのが声優の井上麻里奈さん。
11月末に音声ガイドナレーションを収録。
アニメの演技やニュース番組で読むナレーションとはひと味違ったお声で作品に寄り添った、落ち着いたトーンで
読み上げていただきました。
スタジオ内ではミキサーの方々とコミュニケーションを取りながらディレクションと収録を行い、
固有名詞の読み方やアクセントに誤りがないか同席したスタッフと共にチェックしながら丁寧に進めました。



劇場公開前の完成披露上映会にお邪魔してUDCastアプリにて動作確認(日本語字幕・音声ガイドが問題なく視聴できるか)を実施しました。
映像を通して、向き合ってきたキャストたちの舞台挨拶では、感慨深いものがありました。
※今作は出演者である中村雅俊さんの初監督作品でもあります。

映画の魅力や情景が伝わるように、見たままを言葉で描写する音声ガイド。
圧倒的な量の視覚情報から描写できる情報は ごく一部にすぎないため描写する視覚情報の優先順位を考えながら
「ストーリー展開に関する情報(伏線)」
「作品の雰囲気を伝える情報」
この2点を大事にしながら制作にあたりました。
また公開初日から日本語字幕・音声ガイドを実装させたいという配給・ナカチカ株式会社さまの希望もあったため、
日本語字幕・音声ガイド制作担当者以外に、部内に統括プロデューサーを立てて公開予定日から逆算したスケジュール管理、
外部との調整作業を行いました。
多くの視点や意見を取り入れることで、ひとつひとつのシーンを深掘り、
正確な情報を伝えるだけでなく、脳内でイメージしやすい言葉選びや表現を考え抜いた2か月でした。
これからも、作品に寄り添い、目が見えない、見えづらい方々の拠り所になるような音声ガイドを目指して取り組んでいきます。
ぜひ劇場で、日本語字幕と併せてお楽しみください。

