スポーツの聖地・国立競技場で開催されたデフサッカー日本代表の歴史的一戦を生配信!

2025.04.17
CREATOR REPORT
矢嶋哲也
スポーツセンタースポーツ1部
2025年11月、聴覚障がい者の国際スポーツ大会「デフリンピック」が日本で初めて開催されます。

4月2日、その前哨戦としてデフサッカー日本代表とクリアソン新宿(JFL)のエキシビションマッチが東京・国立競技場で行われました。デフサッカーの試合が国立競技場で行われるのは初めてのこと。
デフサッカー界にとって重要な意味を持つ歴史的な一戦をAX-ONのスポーツセンターで生中継させて頂きました!

【デフ】とは英語で【deaf(聞こえない人、聞こえにくい人)】という意味。

デフサッカーとは聴覚障がい者によるサッカー。
競技中は補聴器を外すことが義務付けられているので「音のないサッカー」とも言われています。
基本的なルールは健常者と同じですが、主審は笛とフラッグの両方を使用。また、国際試合では両ゴール裏に一人ずつ、合計5人のフラッグを持った審判員がプレーの停止を多方向から選手たちに伝えます。

「音のないサッカー」を誰が見ても楽しんでもらうためには映像・手話・字幕の画面構成が必須条件。

放送席の様子

2024年11月にAX-ONの強みを最大限に活かし、スポーツ・字幕制作・企画戦略の三位一体で制作した「デフ陸上中継」の形を踏襲すれば、絶対に上手くいく!という思いは動き出した時からありました。
(デフ陸上の記事も読んでみてください!2025.01.22掲載 音のない世界を伝えきるため 映像&手話&字幕の新画面構築

  • 解説は2023年のデフサッカーワールドカップで監督として日本代表を準優勝に導いた植松隼人さん

  • 実況はスポーツ手話実況者、俳優としても活躍する藤田菜々子さん

  • リポーターにはデフ陸上でキャスターを務めた平嶋萌宇さん

  • 植松さんの手話通訳は森本行雄さん、保科隼希さん

  • 藤田さんの手話通訳は坂井祐太さん、進藤洋子さん

  • 萌宇さんの手話通訳は髙木沙帆さん

  • (最高のコメンタリースタッフは植松さんがブッキングしてくださいました!
    そして、植松さんと我々を繋いでくれたのは企画戦略センターの和田弘江さんです)
サッカー日本代表と同じサムライブルーのユニホームに身を包んだデフ日本代表が入場した時の高揚感。
画面構成

選手たちが手話で「君が代」を歌っている姿を見た瞬間は胸に熱いものが込み上げてきました。 音のない世界で声の代わりに手話やアイコンタクトでコミュニケーションを取り、聖地を縦横無尽に駆け巡るアスリートの躍動感。
3808人の観衆が手の動きで選手たちに声援を送る「サインエール」。
スタジアムには本当に素晴らしい時間が流れていました。

 

中継終了後の写真撮影...日本代表の松元卓巳主将が来てくれました!

放送席ではデフサッカーの専門家による興味深い解説、要所を捉えた的確な実況、感性豊かなピッチリポート...全てを手話で伝えている姿を見た時に、聴覚に障がいを持つ方たちの「第一言語」が手話であることを改めて実感しました。この感情を持つことができたのは、手話通訳の皆さんのおかげです。
筆者は手話が全くできません(今回「拍手」と「楽しい」は覚えたので、社内の手話勉強会推進プロジェクトが主催している手話勉強会に参加してみようと思います)。手話通訳の皆さんが手話の分からない私たちとの掛橋になってくれました。
サッカーの専門的な表現はもちろんのことこと、解説・実況の感情までをも通訳する...しかも、ほとんどタイムラグがない同時通訳。プロの技術に驚がくしました。

コメンタリーの皆さんを始め、この中継に関わった方たちが笑顔で仕事をしてくれたことに心から感謝します。コメンタリーも制作も技術も字幕も...一人でも欠けてしまったら笑顔になれなかったはず。やっぱりスポーツって、スポーツ中継ってチームプレーなんだと心の底から感じています。
聞こえない人も見えない人も健常者も今回の中継を見て、聞いて、少しでも楽しんでもらえたのであれば、こんなに嬉しいことことはありません。

11月のデフリンピック...デフサッカー日本代表は福島のJビレッジで世界の頂点を目指します!

日の丸を背負う選手たちが笑顔で研ぎ澄まされたプレーをする姿、楽しみにしています!