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2019.05.15

アーカイブ通信 「日本で唯一!ベーゴマを製造している鋳造所」

石井佑司

石井佑司
メディア事業センター アーカイブ推進部

    • アーカイブ情景撮影班では街並みや季節イメージ、記録として建設中の東京オリンピックの競技会場等を撮影し、映像ファイルを提供しています。
      また、今しか撮れない世相や無くなりつつあるものを映像に記録し、後世に残すことを目的とした撮影も行っており、今回、撮影におじゃましたのが日本で唯一ベーゴマを製造している日三鋳造所でした。

    • 「ベーゴマの灯を消すな!」川口鋳物工場日三鋳造所

      場所は埼玉県川口市。そうあの有名な吉永小百合主演の映画「キューポラのある街」の撮影が行われた街です。
      現在、映画の舞台となったかつて鋳物工場があった場所は、次々と高層マンションへと建て替えられ、鋳造所はごくわずかしか残っていません。

      その川口に日本で唯一ベーゴマを製造している鋳造所がまだあることを知り得ることができたのは、私自身が川口市出身で小学校の社会科見学で鋳物工場を見学したことを思い出したのがきっかけでした。私が小学生の頃、すなわち30年ほど前はまだキューポラ(溶解炉)のある鋳物工場がいくつかあり、ベーゴマをお土産にもらって帰って来たことを思い出したのです。

    • そんな地元出身の私でしたので日三鋳造所の辻井俊一郎社長との取材交渉はとんとん拍子に進み、辻井社長の人柄もあり、快く撮影を受けていただくことになりました。

    • 「ベーゴマの灯を消すな!」川口鋳物工場日三鋳造所
      キューポラから流れ出る溶鉄

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      砂型から出したばかりの連なったベーゴマとひしゃくを使って砂型に溶鉄を流し込む職人

      ベーゴマは小さく、その製造は簡単なように思えますが、砂型作り→キューポラで鉄の融解→砂型へ溶鉄の流し込み→砂型から取り出し→磨きと一発勝負の1日がかりな製造工程で、ベーゴマの細やかな模様を出すには長年培った職人さんの技術が必要とのことでした。
      その一度きりの撮影チャンスと職人さんの技を逃さぬよう事前に綿密なタイムスケジュールを組み、絵コンテを書くなどしてカット割りを考え、万全を期して撮影に臨みました。

      本番当日、撮影は工場内を所狭しと動き回る職人さんと、溶けた溶鉄の火花が飛び散る中行われ、その迫力に圧倒されながらの撮影となりました。
      職人さんたちは一言も発せずに阿吽の呼吸で動くので、その気の抜けない一挙手一投足をとらえようとその都度カメラの位置を変え、アングルに気を遣いながら撮影を行いました。

      所々でスケジュールが押し、絵コンテ通りにいかないこともありましたが、スタッフ全員が鉄粉臭くなりながらも無事に全ての製造工程の撮影を終えることができました。

    • 「ベーゴマの灯を消すな!」川口鋳物工場日三鋳造所
      完成品 ベーゴマと紐

      今回の撮影は日三鋳造所の辻井社長のベーゴマの灯を消してはならない!愛好者を増やさなければならない!という強い気持ちから実現し、こちらの要望にも嫌な顔一つせずに対応してくださいました。

      ベーゴマ製造は鋳物工場の閉鎖や職人の高齢化により、今しか撮れない貴重な映像となるかもしれません。そういった映像を記録に残し、後世に伝えて行くことが情景撮影班の使命と思い、日々アンテナを張り巡らせながらこれからも精進していきます!!